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【開催報告】7/22(日)第3回アーバンデザインカイギ!

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アーバンデザインカイギは、柏セントラル(柏駅周辺)の未来を街の皆さんと一緒に考えるカイギです。

今回は「Kashiwa Central Grand Design -柏駅周辺基本構想- (グランドデザイン)」が公表されました。

「グランドデザイン」は柏セントラルの20年後の未来を描いたものであり、柏の街がどうあるべきか。

私たちは何をすべきなのかをとりまとめています。

また、今回はUDC2パネラー3名と市民パネラー3名の合計6名によるトークセッションも実施。

どのようなトークが行われたのでしょうか。

是非ご覧ください。

1.概要

・日時:2018年7月22日(日)14時~16時

・場所:ザ・クレストホテル柏

・主催:一般社団法人柏アーバンデザインセンター

・内容:①グランドデザインの報告  

    ②トークセッション

・参加者:220名

2.挨拶・グランドデザイン報告

①主催者挨拶(寺嶋代表理事)

昭和40年代、全国に先駆けた駅前再開発の成就より、柏の街は商業の街として賑わってまいりました。

しかし、そごう柏店の撤退を見るまでもなく、ただいま大きな転換点を迎えているように思えます。

このグランドデザイン(以下、「GD」と表記)が、柏セントラルの現状を皆さまが正しく認識され、危機感を共有するきっかけとなること。

危機感を元に、柏セントラルが目指すべき将来ビジョンを共有すること。このような契機となることを期待します。

また、20年後の柏市が今と同様に選ばれる街であり続ける大きな契機となるのが、このGDであることを心より期待申し上げます。

②柏市長挨拶(秋山市長)

柏アーバンデザインセンターにて、様々な視点、様々な議論より、柏セントラルの将来のあり方としてまとめいただいたことを感謝申し上げます。

今後、GDを市としても受け止め、考えていくことになると思います。

昭和40年代の駅前再開発により、人口が増え、鉄道交通が中心となり人が動いていくという中で大きな商業施設を持つというのは、人を集める求心力として極めて大きな力を持ち、柏が大きく発展してきました。

背景は変化していますが、今でも乗降客数は多いことや大きな商圏があったりします。

10年後、20年後の柏セントラルがどうあるべきかを皆さまと話し合い、難しいかもしれませんが、できるだけ多くの方と共有したいと思っております。

少なくとも危機感は共有できると思っております。

10年後、20年後、今と全く違う社会環境の中で、柏セントラルがどういった形であるべきなのか、過去の延長と違った形で、思い切った形でまちづくりを行っていく必要があると思います。

きちんと現状の分析をし、今起こりつつある変化を考え、将来を見通すことができれば、皆さまと危機感、ビジョンについて共有できるかと思っております。

柏セントラルの将来のあり方については様々な立場(土地所有者・事業者)の方がおり、様々な想いがあると思います。

その中でまちづくりを進めるうえでは、皆さまと共に話し合い、修正や議論を重ねることで一つの形、ベクトルにしてまちづくりをしていくことが柏の将来に必ずつながると思っております。

昭和40年代にも大きな意見の衝突があったかと思いますが、それを乗り越えて、柏の発展を支えるベースとなってきました。

今後は皆さまと新しいベースを作らなければなりません。

将来どうなるかといった視点を思い描きながら本日のお話を聞いていただければ幸いでございます。

 

③グランドデザインの報告

前田副センター長(GD検討委員会委員長)より、グランドデザインの報告がありました。

 

 

3.トークセッション

①トークセッション概要

・UDC2パネラー(3名)、市民パネラー(3名)によるトークセッション。

 

◆UDC2のパネラーの紹介

・石戸 新一郎:UDC2 理事/商店街振興組合柏二番街商店会 理事長など

・関口 真太郎:UDC2 GD検討委員会委員/柏市西口本通り商店会専務理事など

・染谷 康則:柏市都市部次長兼中心市街地整備課長 /UDC2副センター長(非常勤)など

◆市民パネラーの紹介

・佐竹 芽依:江戸川学園取手高等学校2年、「ストリートパーティー」実行委員に参加など

・吉岡 亮兵:刺繍専門店「刺繍縫-nui」をオープン、「ウラカシ百年会」 会長など

・西藤 尚子:親子カフェ「チルドリンカフェ@柏の葉」マネージメント担当など

 

◆コーディネーターの紹介

・出口 敦:UDC2センター長、東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻 教授など

 

②トークセッション内容

出口

 前半ではGDの内容を報告させていただいた。

 後半は、GDを策定した側のUDC2パネラーと、GDを使いこなしていただきたい市民パネラーに分かれて、トークセッションを大行いたい。

Q1:UDC2パネラーへ

①自己紹介

②地元として(市として)GDに対して思うこと

③ハード整備にどう繋げるか など

石戸

 二番街で画材屋をやって、50年になります。50年の間に街の良いところ、悪いところをずっと見てきました。

 大きな変化としてバブルがはじけたときに、かなり厳しい状況があり、まちをどうにかしないといけないとの想いから、柏市と商工会議所と一緒に柏市全体の商業ビジョンとイメージアップ推進協議会を作り、柏の若者づくりということを長年やってきました。

 

 2008年のリーマンショックでは、売り上げが下がり続けるといった厳しい中で、街をもう一度変えなければと思い、街の更新、キレイな街を作らなければならないと感じました。柏駅周辺の商店街5つで東口中央商店街連合を作り、ダブルデッキの下にウッドデッキ広場を作り、街の中でどれだけ『ハード』が大事かということを痛切に感じ取りました。UDC2を作る前に、UDCKにお邪魔して『ソフト』だけでは街は成り立たないということを出口先生から学びました。『ハード』と『ソフト』をどう融合するかが大事ということを教えられました。

 

 2009年からリーディングのE5(柏一丁目地区まちづくり協議会)を起ち上げ、8年間取り組んできており、全体のボリューム調査は完了している段階です。

 

 柏の再開発(デイワンタワー)は30年かかっていますが、今の街の動きは早いです。役所に任せておいては時代のスピードに合わないため、一丁目街づくり協議会を立ち上げてきました。これからのまちづくりというのは役所にお願いするだけでなく、自分たちがきちっと作り上げて、役所にフォローしてもらうような民間主導の時代だと感じております。リーディングPJを良い形で作りたいと思いながらUDC2の理事を務めております。

出口

 イメージアップの取組み、ウッドデッキの整備など、公共空間の整備に尽力されてこられました。また、ソフトとハードの融合したまちづくりに取り組んでいくことの重要性を強く認識されており、これから地元の地権者なり、自分たちが計画をつくりあげ、行政に支援・協力をお願いして実施していくスタンスが重要なことを強調していただきました。

関口

 西口駅前で不動産会社を経営する事業者であり、西口の地権者でもあります。また、西口本通り商店会の事務局として、商店街の活動にも関っております。UDC2では、GD検討委員、調査研究委員会、戦略会議のメンバーとして関わっております。

 UDC2ができる前から柏駅周辺のまちづくりに関わり、申し上げてきたのは、商業都市として発展してきたのは、再開発『だけ』ではなく、『ソフト』などのまちづくり活動に尽力してくれた方が数多くいたから成立してきたのだと思っております。しかし、これまでの『ソフト』のまちづくりだけでは限界があると思い、これからは『ハード』に軸足を置いて両面でまちづくりをしていく必要性を申し上げてきました。

 既成市街地でハードのまちづくりは難易度が高く、相当の覚悟が必要だと感じています。今までまちづくりに関わってこなかった地権者を巻き込んで、皆さんが共有できるような具体的な将来像を設定し、戦略的なまちづくりを展開する必要があることを申し上げてきて、GDができたことは、良かったと思っている。

 地権者を巻き込んでGDを実現化するためには、UDC2は「仕掛け人」となる必要があると思っています。例えば、リーディングPJを進める時に、地権者のキーパーソンを引っ張って、ワーキングチームを作る。UDC2側からは理想をぶつけつつ、地権者の考えを取り入れていくなど、ハードのまちづくりの仕掛けができるのではないかと思っています。

 GDはあくまでも基本構想であり、具体的な敷地をどうするかは、地権者に委ねることになるわけなので、その際に地権者にGDを参考・尊重してもらえれば、街は良くなると思います。ハードのまちづくりはすぐに目に見えるわけではないので、時間的なギャップを埋めるようなソフト面の取組みも同時に展開させていかなければいけないと思っています。

 柏セントラルが「勝ち組」に残るラストチャンスであるという危機感を持っており、スピード感が必要だと思っています。

出口

 大きなステークホルダーとして地権者の方々の協力なしでは、良い街はでき上がらない。地権者の方々とも将来の方向性を共有して、協力し合って進めていくためのGDでもある。また、皆さんが集まるテーブル「プラットフォーム」が必要であり、当事者間のテーブルだけでなく、UDC2が上手くテーブルの役割を担えるという話をいただけたと思います。

染谷

 柏市役所都市部中心市街地整備課になります。柏市生まれ、柏市育ちであり、柏セントラルの再開発は小学校時代の思い出であり、自分が住んでいる街の駅前が変わるといったことを実体験としてきて、そごうの閉店は個人的にも残念なでき事です。

 

 この事がきっかけとなり、GDを策定しようと地域が主体となり、一つにまとまろうと活動が起こった事は非常に素晴らしいと思っております。こういったことは、行政だけでは無理があります。本来まちづくりは地域の方々が主体で行うものを、行政も一体となって行うものだと思っています。

 

 実現の部分で行政が担う役割は大きいとは思います。市が何をするかというと柏セントラルで言えば、駅前広場や道路などの都市基盤といわれる部分を行政が安全という視点を第一に作ってきていますが、行政が安全の視点だけで作っていては、街のニーズとリンクしないのが、これからの時代だと思います。GDで様々な意見が出ておりますが、通りごとに地域と一緒に特徴を考え、道路整備をしていく。「安全」というものとリンクさせながら、道路整備をしていく。利活用といったソフトの部分で街を作っていくのであれば、「規制緩和・道路利活用」を市として一緒に考えていく。

 

 交通結節点であるので、街にとっての道路だけではダメで、柏駅に『心地良く』来てもらうための「交通」を考えなければならない。バスやタクシー、電車も含めてそこに利用する方々が来やすくするということが道路の担う機能でもあるので、バランスをとりながら街としての基盤をきちんと整備していくのが、行政に求められている部分だと思っております。

出口

 柏セントラルは駅に向かって中心に伸びている道路構造です。そこの使い方がポイントになってきます。駅に向かっていくモビリティの空間でもあり沿道の店舗等にアクセスする空間でもある。歩行者の人たちが歩きやすい、快適にレクリエーションができる空間でもある。道路利活用がこれからの課題で色々な制度を駆使しながら市として取り組んでくれるとの話だったと思います。15の戦略の中にも重要なポイントとして謳われています。

Q2:市民パネラーへ

①自己紹介

②GDを読んで期待すること、自分が考える街の課題との対応

佐竹

 緑が少ないので緑の制服を着てきた(会場笑い) 江戸川学園取手高校の2年生になります。柏生まれ、柏育ちです。ずっと帰宅部で何もしていない時期が続いており、このままでよいのかと想い、高校生になったことをきっかけに昨年UDCKのピノキオプロジェクトの企画・運営に入り、活動しています。今年も参加し、フェイスブックやインスタグラムなどのSNS更新を担当しています。

 第2回アーバンデザインカイギに参加したことをきっかけに、柏セントラルに興味を持ち、UDC2のストリートパーティーの実行委員としてまちづくりに携わっています。

 柏セントラルは学生の数は多いけど、学生が自由に使える場所は少ないと思います。例えば、パレット柏ができたことで、高校生が勉強したり、他校の友達と会ったりすることなどができる貴重な場所になった。もっと、学生・若い世代が集まれる居場所が増えて欲しい。

 また、学生自身が街に興味を持って、「街を変えなきゃ」と思う人が増えるのがベストだと思います。

出口

 緑が少ないということを端的に言っていただいた。この街は高校生が非常に多いのに居場所が少ないといった意見をいただいた。居場所ができるとどういったことができるのかといったアイデアも後でいただければと思います。

吉岡

 1978年生まれ、浜松出身、40歳です。柏三丁目、ウラカシで刺繍店を経営しています。年度末には柏周辺の中学・高校などに個人名の刺繍を数万枚やっております。その他に、アパレルブランド、衣装などを手がけています。

 

 結婚をきっかけに柏に来たのですが、実家は浜松で裁縫店をやっており、浜松で刺繍店をやるべきとも考え、非常に悩みました。柏で刺繍店をやる決断をしたのは、東京のスピード感が重要だと考えたからです。東京ですぐに駆けつけて打合せが必要、となった場合に、柏では成立しますが、浜松では成立しないのです。現在、宝塚や劇団四季の衣装を手がけていますが、デザイナーが東京、横浜にいて、毎週のように柏に打合せに来てくれます。浜松では厳しかったと思います。東京という場所に近いからこそ、できる仕事があり、柏は遠くもなく、近くもなく、非常に良いと思い、決めました。

 

 GDの話にしたら小さいかもしれませんが、「家族・お店・お店の周りの人」が笑顔になれば良いと思って働いています。GDを聞いて、初めは「すごい」という印象しかありませんでした。雲の上の話のような印象。ただ、今は自分も関われる話なんだと分かってきました。大切にしたいのは、ウラカシの同世代のオーナー達の思いです。GDが全て実現化した時に、「ウラ」が無くならないようにしたいと思っています。

出口

 柏のまちが成熟して、新しい段階に移行していく上での重要なポイントとして大きなシナリオであるGDを描いてきたところですが、お一人の商売をしている方の観点から見たときに、ピカピカの街にしてしまうというよりは、小さなビジネスが起こりやすい余地を残しておくということも非常に重要ではないか感じました。

地方都市は東京都と直結していないので、東京のスピード感と直結していながら、小さい自分のビジネスを叶えていける街が柏なんだと。そういった余地を残していくような話だと思いました。「新たな都市型産業の育成・支援(戦略7)」とです。解釈を広げるとそういった意味も含めるように見ていただければと思っております。

西藤

 茨城県石岡育ちですが、結婚を機に夫婦の実家同士の中心地という理由で、柏に住むことになりました。柏は都会過ぎず、田舎過ぎずという街で、小さい頃からご褒美を得られる特別な街でした。

 今は、柏市松葉町に住んでいます。住む場所を考えたときに、柏セントラルで子どもを産み、育てることは躊躇しました。小さい子を育てるのに人通り、車など交通不安や防犯不安がありました。14年経って、柏の街の雰囲気変わってきたと思うが、柏の葉や松葉町の子育て環境と比較すると、「子育て」に関して吸引力が欠けているように感じています。

 「赤ちゃんのほっぺ」という子育てサポートの団体を起ち上げて、柏の葉で「親子カフェ」も実施しています。現状、柏セントラルのママさんたちが柏の葉まで来ているので、柏セントラルの中で、ママさん達が過ごせる居場所が必要だと思っています。

 GDにも「多様なニーズに応える機能の導入(戦略6)」もあることから、私自身もそこに期待し、関わりたいと思っています。

出口

 親として子供を産み育てる上で、不安がある環境ではないかという指摘がありました。柏北部が子供を育てる上では人気が出てきています。柏セントラルでは、住宅の述べ床面積を現在の2倍に増やすと謳っているのですが、若い世代、子育て世代にとってはまだまだ課題の多い環境といったご指摘だと思います。

 戦略の中でも重要事項として入れ込んでいますので、具体化、実現するためには、民間、行政の方々と議論していただかなければと思います。

Q3:UDC2パネラーへ

①どの戦略を最も重視しますか?

②その実現のためにどのように関わりますか?

石戸

 交流人口をどう増やすかとういったことが重要だと思いますが、「なんで柏って元気なの?」とよく聞かれます。

 元気さの半分は、首都圏30km圏内にある立地の良さ。交通インフラ、常磐線、東武線、国道があり、しっかりしていることだと思っております。残り半分のうち、25%くらいは駅前の再開発だと思っています。そごう、高島屋、マルイが大きくなり、柏が商業として骨格をはっきり作ったところだと思うので、そごうが欠けたことは大きな問題だと思っております。残りの25%くらいは、イメージアップ推進協議会から始まった、「若者のまちづくり」。ストリートミュージシャンのサポートなど色々なソフト事業をやってきました。その中でつくったかしわインフォメーションセンター(KIC)やガーディアンエンジェルスの活動などが残りの25%だと思っています。

 GDの策定にあたり「奥行き」を大切にしてほしいと訴えてきました。人に優しい街を作らない限り、街は栄えないと思っており、「歩行者にやさしい環境の形成(戦略11)」が重要だと考えています。旧水戸~パル街~サンサンの間は車を止めるのが理想と思っております。人が楽しんで歩けるということがないと、これから良い街にならないと思います。

 そごうが無くなってから、二番街の歩行者だけが伸びています。人は一箇所に集まってしまうことがあるが、これでは「奥行き」が生まれません。

 GDはまちづくりのバイブルだと思っております。商売人は間違ってしまうこともある。その時に立ち止まり、修正して戻れるのがバイブルです。GDの重要性を皆さんと共有し、行政と協力してまちづくりを行いたいと思います。

出口

 「歩行者にやさしい環境の形成(戦略11)」を進めたいとのこと。

 後ほど吉岡さんにも聞きたいと思いますが、「奥行き」といった視点でウラカシのほうにも上手くつながっていくこともポイントだと思います。駅の周辺で活動されている方々とちょっと離れた方々とどういった風につなげていくか。そのために戦略をどう読み取っていくかが重要だと思います。

 奥行きができる街、歩行者を重視した環境づくりに取り組んでいきたいということですが、それが街にとってどういう意味をもたらしていくのかといったことを皆さんと共有していきたいと思います。

 

関口

 一つに絞るのは難しいのですが、「商業環境と調和した良質な居住環境の維持・形成(戦略5)」が最重要だと思っています。GDにおいて、住宅を2倍に増やすために、積極的にレジデンスを誘導したら良いのではないかという提案がされたことは、非常に大きなことだと思っております。ここまで来るのに相当な議論がありました。周辺部に住む場所があるのに柏セントラルにレジデンスを増やす必要がどこにあるのか。柏セントラルは商業で頑張るべきだとか、フルテナントビルを建替える際に、マンションを建てるとは何事だ、のような議論がありました。

 「融合都市」と宣言しているとおり、商業と住宅などのベストミックスを目指すことは非常に重要なポイントだと思っております。私個人が思うベストミックスは、低層部が商業・業務で、空中階が住宅だと思っています。東葛通りでは、1階から全て居住機能のマンションや、2階建ての商業施設といった形態が増えているが、容積率を消化しながら通りごとに足下のルールを整え、例えば3階まで商業施設にしましょう、上層階は住宅にしましょう、といったルールを作り、街のキャパシティを維持することが重要だと思っています。

 また、「魅力を高める景観の形成(戦略9)」の内容になるのですが、GDは20年後をターゲットにしているので、建物の更新が進む前に、通りやゾーンごとに、ガイドラインや地区計画を作ることが重要だと思います。用途で言えば、2階まではテナントスペースにするとか、1階だけは店舗にして、上層階は住宅として有効に使いましょうとか、どういうテナントを誘導しましょう、といったルールや共通目標を今のうちに作っておくことが大事なのではないかと思っています。

 

出口

 地権者、事業者の観点から発言をいただきました。繰り返しになりますが、地権者の方々のご協力なしにはGDの実現は難しい。戦略5が重要だと指摘をしていただきました。

 GDの活用の一つとして、戦略をアイコンの形で整理したのも工夫の一つです。まちづくりの議論をする際にも壇上でやっているようやり取りに活用いただければと思います。

 

染谷

 市としてはもちろん全て大事だが、市として最も動かなければならないと思うのは、「駅東西の連絡の強化(戦略3)」だと思っています。市がJR・東武といった鉄道事業者と協議することで、東西の連絡を強化できたらと思います。JR・東武を超えないと西と東を結ぶことが難しいので、その部分を如何に円滑に行き来できるようにするかを市がきちんとやっていかないといけないと思っています。

 現在、地権者さんたちが汗を流しながら西口北地区の再開発を何とかできないかと議論を日々行っていただいております。そのプロジェクトがきっかけで、北側への玄関口(改札口)の設置を投げかけたいと思います。また、西口の再開発はテーマ1(戦略1~戦略4)と非常に関連するので地権者に伝えていかなければならないと思っています。柏の顔となる駅前空間をこの事業で作っていくところもそうですし、駅に直接つけるといったところも重要なプロジェクトですので、東西の連絡強化を考えた時に、跨線橋5つが全て必要なのか、機能はどうなのか、などを改めて考えることも重要だと思っております。

 

出口

 再開発の力を上手く利用しながら、鉄道事業者(JR・東武)の方々に主体的に参画いただきながら、長年の課題でもあります東西の更なる交流、連絡の強化というものを進めていくことが、これからの柏の街のキャパシティをあげていく。回遊性を強めていく上でも重要なことだとご指摘いただきました。

 これこそ公と民とが協力しないとできないことだと思いますので、皆さまにも重要性を共有していただいて、実現へ向けての取組みをご一緒に進めていければと思います。

Q4:市民パネラー

①GDに基づいて、自分の活動に近い部分や、興味・関心どういったことに関われるか?

出口

 先ほど、石戸さんより「奥行きのある街」を作るべきとの発言がありました。ウラカシに関連する話ですので吉岡さんに、ぜひご発言いただければと思います。

 

吉岡

 やはりウラカシを盛り上げたいと思っており、柏らしさを出したいと思っています。駅前は家賃が高くて絶対に出店できないです。ウラカシエリアでギリギリやっていけていますが、それでも柏でやっていきたいと思っています。柏にしかない店舗も多いので、それは柏らしさだと思います。

 

出口

 先ほどの発言で、地方では自分の夢をかなえるようなビジネスをやることはできても、東京をターゲットにしたビジネスはできないので、両方がかなえられるのが柏でないかという話がありました。それがだんだん駅周辺では店をもてなくなってきている。当然、街が発展すると土地代が上がるので、自分の夢をビジネスにしていくことが、難しくなってくる。その受け皿としてウラカシの存在意義があるのではないかと思います。

吉岡

 徒歩6分なので、歩ける距離で遠い感じではありません。全国から出店希望が増えたら良いと思っています。

出口

 以前に比べるとウラカシに来る人が減ってきていると聞いていますが、その辺りはいかがでしょう。

 

吉岡

 15年くらい前に比べると、ウラカシに来るお客さんは1/10に減ったと聞いています。その頃は、アメカジで盛り上がって「東の渋谷」と言われ、東京からも洋服を買いに来るお客さんが沢山いたそうです。ただ、ウラカシ出店者の半分以上が柏の外の人たちだったそうです。みんな東京の人たちが柏の街でやったら儲かるという話に食いつき、皆が柏に出店したいと思っていたそうです。これからもそうあってほしいと思っています。

出口

 二つ重要なポイントがあると思います。

 自分の夢をかなえてお店にしたいという人たちがお店を出せる街にしていくということ。そのためにはウラカシのような場所が受け皿であり続ける必要があると思います。

 また、徒歩6分といいますが、旧水戸街道を挟むとどうしてもわかりづらい。そこは、石戸さんたちが考えていらっしゃる歩行者の回遊性をもっと高めるといった延長上で位置づけて連携していかないと、なかなかお客さんが行きづらいとの課題が解消されないのではないかと思います。

 石戸さんたちが目指している奥行きのある街、歩行者を重視した街というのはウラカシの方たちとどのようにつながっていくのでしょうか。

 

石戸

 15年前の最盛期の頃にインフォメーションセンターの理事長をやっておりました。マップの作成など色々なサポートしており、情報発信が如何に大事かということを常に考えていました。本人は緊張で忘れているようですが、吉岡さんは昨年起ち上げたウラカシ百年会の会長で、ウラカシの店舗が一緒になり、まちづくりをやろうという会をつくり頑張り始めました。その話をしてみたら?(会場笑い)

 

吉岡

 ありがとうございます。昨年の11月に起ち上がりましたウラカシ百年会の加盟店30店舗の中には西口の店舗も入っています。柏三丁目に限らず西口でも定義が「ウラ」ならどこでも良いと思っており、みんなで集まって盛り上げようという会を設立しました。後は何を話しましょう?(会場笑い)

石戸

 フォローします(会場笑い)。年間予算200万円くらいを集めて、年4回勉強会を実施しております。勉強会では、風貌がファンキーな若者が沢山集まります。ウラカシの人たちは真剣に勉強しようと努力しています。やはり周辺が元気になって、駅直近が元気になると、分かって商売をやっております。この活動はGDにも関係があると思っております。

 

出口

 GDのまちづくりの方針図(P24・P25)ではゾーンを設定しております。「暮らしとにぎわいの複合ゾーン」や「暮らしのゾーン」でウラカシのようなビジネスが展開するのが理想で、そこまで人を引っ張っていくことの意義を皆さんで共有する必要があると思います。駅直近だけ人が集まっている街は今ひとつ味わい深さがないような気がします。

 GDの大きな目的の一つは、「街のキャパシティを上げる」ことでもあります。街に来た人たちが回遊するエリアを広げていくこと。人が歩けば、それだけ街にお金も落ちますし、街の魅力の幅も広がると思います。この観点で方針図を捉えていただきたい。方針図にある沢山の商店街が連携しなければ、街の繋がりはできてきませんし、回遊性も拡がりません。吉岡さんにはそういったウラカシでの動きを期待したいと思います。

佐竹

 高校生がこういった場所に参加しないことが残念です。なぜこういった会議に参加しないかと考えると、知らなかったり、興味がなかったりもあると思うのですが、興味がないのは、自分が言ったところで何が変わるのかが理解してもらえないというところだと思います。だから、意見を出したら変わるということを若い世代に知らせることが大事だと思います。

 GDを若者に発信したら、テーマ4(戦略13~戦略15)に興味を持つと思います。友達と「やりたいよね」で終わっては勿体ないと思っており、柏というフィールドで自分がやりたいことを実現できるようになれば良いと思います。

出口

 高校生にとっての居場所がまだまだ少ないようですね。居場所ができたとしたら、どのようなことをしたいですか。

 

佐竹

 「人がやりたい」とことを助けたいと思っています。ボランティア活動の拠点を作りたいです。やりたいことができる場所があれば、柏セントラルにもっと若者が集まり、活力のあるまちづくりになるかと思ってます。

 

出口

 若者が困っていることを持ち込んで、それを解決していく拠点ですね。もしかしたら、若者以外に年上の方も集まってくるかもしれませんね。

 

佐竹

 そうしたら、多世代の拠点として、課題解決をしていきます。

 

西藤

 乳幼児を育てる世代へのサポートをしており、「多様なニーズに応える機能の導入(戦略6)」に興味があります。具体的には、全国に拡がっている「子育て広場」といって出産世代が集える場所があるのですが、誰にでも行きやすい場所に児童センターがあるわけでは無い状態にあります。北部と南部には「はぐはぐ広場」がありますが、中央部にはありません。パレット柏にキッズスペースは非常に小さいながら存在し、そこが柏セントラルのママさんの唯一集える場所になっています。

 北部まで柏セントラルのママさんが来るという現状があり、幼子を連れてでもくることから集える場所を求めていることのニーズを感じております。GDにもある「子育て支援サービスの提供」の場所が欲しいし、そこの運営に関わりたいと思っております。多様なニーズ「子どもの視点」を大切にすると「全ての世代」に優しい街になると思っております。

出口

テーマ2について触れていただきました。柏市の中でも北部や南部に比べて、中央部に不足している機能があるとのご指摘です。これは行政にも働きかけなければいけない部分もありますが、機能を入れるためのスペースがないなど行政だけでできることは限界があります。公と民で連携しなければならない課題かと思います。

Q5:最後に一言ずつ

染谷

西藤さんの話は、行政として最もやらなければと感じておりますが、市は駅前に床を持っていないので、なかなか実現できません。それを商業施設や、地権者さんと連携してそういった施設を充実させていくことができればと思います。住民を増やすというGDの方針からすると、子育てのサービス機能だけでなく、公園機能も必要かと思います。今から駅前に土地を購入して公園を作るということは現実的に難しいので、必要な機能を補填しなければなりません。公民で連携してプロジェクトを進めるなど、行政として最適解を探していきたいです。

 方針図のようにエリアに入っているものは、その土地利用がされるようにお願いをすることもGDの役割でありますし、市も実現できるように一緒に働きかけます。しかし、GDは法的な規制がありませんので、お願いという形になると思います。西口についても再開発が進めば住民が増えますので、保育や子育て施設がきちんと整備されるよう、行政からも権利者さんに協力を仰いでいくことになると思います。それがGDを実現していくことに繋がると思っております。

 

関口

25歳~35歳くらいの間、ビジネスをしていて思っていたことは自分の周りのことでいっぱいということでした。柏の周辺のマーケットは外部環境なので自分がどうにかできるはずもないし、まちづくりも誰かが頑張れば良いと思っていました。

数年前から、今がラストチャンスだと思うようになりました。ここを過ぎてしまうと成功するチャンスは極めて低くなって難しくなると感じ、これからも柏でビジネスをやっていきたいのであれば、みんなで同じ方向を向いてやっていかなければならないと思うようになりました。まちづくりに関るようになり、「誰か」から「私」へと考え方が変わったと言えます。

不動産オーナーの中には、必ずしも高い家賃を提示したテナントを選ぶわけではない方もいます。ご自身のビルのことだけでなく、街のためを思って、家賃は安くても契約するオーナーがいます。そういった地権者も、経済合理性だけを取れば、街にとって望ましくないテナントを誘致することもできます。アーバンデザインカイギなどで積み重ねているまちづくりは、一瞬で崩壊する可能性があります。それだけ地権者というのは大きな影響力を持っていることを、改めてご認識いただきたい。地権者の皆さまには、GDに関心を持っていただき、可能な部分でGDと連携していただければと思っております。

石戸

GDは検討当初、ゴールを「10年後」「20年後」にするかで議論しました。20年後が良いと主張してきたのですが、佐竹さんの世代が前面に立つような内容になっています。彼女たちの世代が街を作るためのバイブルを作りたいと思っていたので、そのような活用がされれば、やった甲斐があると思いますし、つくった責任上、頑張って守り続けたいと思っております。

佐竹

GDを読んで「スゴイ」と思っていました。書いてあることがどれだけ実現化できるかはやってみないと分からないと思うけど、多世代交流が深まり、柏という街に面白い人が住んで、面白い街になれば良いと思います。

吉岡

世界中から見て、日本の柏がイケてると思ってもらいたいです。どこかの街の真似じゃなく、柏の奴かっこいい、柏に行きたい、柏に住みたい、柏でお店をやりたいという人が増えればいいなと思っています。

西藤

自分たちの子ども世代が大人になった時に、柏がどれだけ住みやすく、魅力的な街になっているか。そこを目指すものとすれば、色々な立場があると思うのですが、未来に向かっていったときに、GDを共有して、何を大切にして、何を未来に残していかなければならないのかが分かったのではないかと思っております。この日がその出発点だと誇りに思い起こせる日が今日だと願っています。

コメンテーターより

 

小野先生(調査研究委員会委員長)

調査研究委員会の立場として、GDを夢ある形にするよりは、どのような可能性があるか、何かが欠けていないか、など冷静に分析することが中心でした。「世界から見て格好良い街になれば良い」という発言、個人的にはそうあってほしいと感じました。

柏については3つのポテンシャルがあると思っております。

①立地が優れている。

②再開発など街の中で明確な転換点での恵まれた構造、仕組みがあった。

③社会の動きの中で先導できる人や組織が存在している。

GDをエンジンとして使っていただき、より具体的な形で、厳しい議論も重ねていただき、実現をすることを期待しております。

前田先生

GDは今日が出発点です。私はまちづくりの技術者ですので、皆さんが考えていることを絵にするとどうなるかを追求してやってきました。まちづくりはその技術だけでは実現しません。そこに「人」が介在し、「人」がやらなければ実現化しません。コンピューターのようにプログラムを組んで答えがでるものではありません。そこが難しいしけれど、面白いところだと思います。

柏にはポテンシャルがあると思っています。1週間前に、芝浦工大とタイの大学生が国際建築ワークショップを開催しました。柏駅前の敷地を設定し、GDの趣旨に従って建て変わったらどうなるかを課題としました。発表会を行ったところ、様々な人(柏市職員、三井不動産、商工会議所など)が参加してくれました。その後、タイの担当教諭に「柏の街はどうだった?」と聞いたら「人が良かった」と回答しました。たった1週間でもホスピタリティを感じたそうです。

GDをはじめ、街を動かしていくときに技術だけではできないことを「人」ということに集約され、進めていけるのではないかと思っています。

出口先生

GDは、法律や条令に基づかない構想です。地域発意で作り上げたものであるので、皆さんで支えていただかなければいけない、拠り所がない構想になります。ただ、法的根拠に基づかないものであるが故に、皆さまの強い意志が感じられるという意味でもあります

これまで沢山のGDに関ってきましたが、内容的には最も優れているGDだと感じています。特に数値目標があり、SDGsをモデルにするなど、表現も工夫をしております。本日の壇上のような活用でも良いと思いますし、これからのまちづくりの指針として、活用いただければと思います。

何よりも大事なのはGDが、市の外に出て行くことで、柏セントラルがこういったまちづくりに取り組んでいくことを発信していくことになります。これが地域のブランド力にもなりますし、投資も呼び込んでいける武器にもなると思います。

今日が新たなまちづくりのきっかけの日になればと思っておりますが、今日ご参加いただきました皆さまのご協力によるところが多いと思いますので、今後ともGDを活用いただいて、柏のまちづくりの次のステップに進んでいただきたいと思います。

 

4.閉会挨拶

寺嶋代表理事

皆さまにGDを公表することができました上に、トークセッションでは市民パネラーの皆さまを交え、大変示唆に富む意見を伺うことができました。大変充実した時間だと思っております。

GDはあくまで出発点でございます。これを実現させていくかという主役は正にステークホルダーを含め、関係当事者の皆さまの力だと思っております。ぜひ、皆さまとこの柏セントラルがどういう街になっていくか決して他人ごとではなく、自分ごととして真剣に考えていただきまして、このGDの実現に向けて、ご尽力を賜れればと思う次第でございます。皆さま方の一人ひとりのご活躍を心よりご期待申し上げます。

1990年代より「若者の街」として名前を馳せてきた柏の街。

「東の渋谷」と言われた時代もあり、多くの若者にとって憧れの街だったと言います。

しかしながら、UDC2がここ数年で調査したアンケートでは、若者からポジティブな意見と共に、ネガティブな意見もたくさんもらっています。

タイトル

タイトル

「怖い」「休日に来たいと思わない」「デートするには恥ずかしい」

「柏に来たくて来てるわけじゃない。他に行くところがないだけ」

などなど。‍

若者にとって、憧れの街ではなくなっているのでしょうか?‍

サブタイトル

サブタイトル

そもそも、柏の街に若者はいないのでしょうか?

そんなことは[.u][.s100]ありません[.s100][.u]。パレット柏のオープンスペースや、UDC2の社会実験である「デッキパーク」などは、たくさんの中高生に利用されてきた経緯もあり、若者の居場所としてにぎわっています。このたくさんの若者。彼らはどこから来て、何を目的に過ごし、柏の街に何を感じているのでしょうか?

「若者の街・柏」のリアルはどこに?‍

さあ、柏に関わる若者たちのHONNE(本音)を探っていきましょう。本プロジェクトは、柏で活動している若者にフォーカスし、彼らのHONNE(本音)を探ることにより、若者の柏の街に対する考えや、街の内外での動きを見える化することを目指すものです。市内の各所に徐々に配架していきますので、ぜひお手に取ってお読みください

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