2018年7月に策定した「柏セントラルグランドデザインー柏駅周辺基本構想ー」(以降、「GD」と表記します)では、20年後の将来像として商業都市から融合都市への転換を謳い、柏セントラル※1における空間や機能の数値目標を示しました。1973年の市街地再開発事業以降、商業都市として発展してきた柏セントラルにおいて、従来の交流人口対策だけでないまちづくりと、多様な要素が共存する未来を目指すことを掲げることは大きな意味があることでした。
さて、今回の「柏セントラル駅まちビジョン」はGD4章(まちづくりの方針)において「駅前拠点ゾーン」として定めているゾーンに焦点を当て、理想的なハード整備の絵姿と、それに伴う床面積や建物用途を試算したものです※2。本試算にあたり、①面的まちづくりの推進、②駅とまちを繋ぐネットワークの構築、③まちの共用部の創出 といった3つの重要なテーマについて検討を行いました(詳細は冊子の6頁以降を参照)。
将来、柏セントラルの地権者などステークホルダーの方が建物の建替えや新築に際して、今回の駅まちビジョンを契機として隣接地権者との共同建替えの可能性を選択肢に加え、その検討の素材として活用していただき、GDの実現に近づくことを期待します。
今後、UDC2としては、GDや駅まちビジョンに基づく柏セントラルにおけるハード整備の実現手法等について検討や調整を行い、地権者を含むステークホルダーの皆様に有益な情報をフィードバックすると共に、特に駅まちエリアにおける有機的な連携をはたらきかけることなどを通じて、その役割を果したいと思います。コロナ禍において、GDの推進が減速するなどまちづくりにも様々な影響が生じるなか、GDが実現するか否か、とりわけ駅まちエリアの約20年後の未来に向けた趨勢が、柏セントラルの浮沈に大きく影響するという危機意識を改めて共有し、われわれのまちが選ばれるまちであり続けるよう一歩ずつ着実に進んで参ります。
2021年9月
一般社団法人柏アーバンデザインセンター(UDC2)
※1:「柏セントラル」はUDC2がGDの策定時に定義したもので、駅から概ね500m圏(抵抗なく歩ける範囲)を言います。
※2:柏駅西口北地区および柏一丁目地区については、地元主体で既に検討が進んでいるため、検討されている内容を掲載しています。