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【開催報告&当日動画】UDC2まちづくりトーク04「歩きたくなる目的地をつくるにはーマイクロツーリズムの視点から柏のまちを考えるー」

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まちづくりトークは、様々なゲストをお呼びし、まちづくりに関する話題提供を目的として、これまで3回実施されてきました。

今回は、コロナ禍の中で話題になっている「マイクロツーリズム」の観点から柏のまちを見てみようということで、ゲストのお二人からお話を伺いたいと思います。ゲストは、かしわインフォメーションセンターのセンター長をされている藤田氏、青梅市でタウンマネージャーとして活躍されている國廣氏をお招きし、柏セントラルの回遊性を高めていくようなヒントを探りたいと思います。

皆様のご参加をお待ちしております!

1.概要

・タイトル:歩きたくなる目的地をつくるにはーマイクロツーリズムの視点から柏のまちを考えるー

・日時:2022年3月9日(水)19:00-21:00

・形式:オンライン(ZOOMウェビナー) + 現地会場(UDC2会議室) 

・内容:一部:ゲストトーク/二部:トークセッション

・事前申込数:オンライン(103名)・現地会場(1名)

・当日参加者:オンライン(60名程度)・現地会場(1名)

・参加費:無料

・主催:一般社団法人柏アーバンデザインセンター(UDC2)

 

・1部 ゲストプレゼンター:

藤田 とし子 氏 | かしわインフォメーションセンター センター長・内閣府地域活性化伝道師・総務省地域力創造アドバイザー

國廣 純子 氏 | 青梅市中心市街地活性化協議会

 

・2部 モデレーター:

梅岡 恒治 | 柏アーバンデザインセンター ディレクター

 

2.当日の動画

→動画その1:梅岡プレゼン「柏セントラルのまちづくり状況」

→動画その2:國廣氏プレゼン「マイクロツーリズムの観点から見る 東京郊外の市街地再生の実例」

→動画その3:藤田氏プレゼン

→動画その4:トークセッション

  

3.トークセッション要旨

今回は、トークの中で7つの議題が浮かびあってきました。途中,いくつか視聴者の質問にもお答えしています。

 

①近隣住民と外部から来訪する人を回遊させる必要な仕掛けの違いについて

〇國廣

 実際にまちを使う人は様々なので,多様な選択肢があるべきです。青梅では,地元に長く住んでいる人より最近移住してきた人や近場から遊びに来る人の方が,まちのなかで衰退してきていたり, 不要と思われていた場所に新たな変化を起こすと,興味を持ってくれやすいというのはあります。このあたりは,狙って事業を組み立てています。

 観光地ではまた別ですが,まちの要素の組み合わせは,滞在時間や来街者によると私は考えています。その補助として情報の出し方は意識しています。

 

〇藤田

 柏の中心市街地の商店街などは,どちらかといえば日常のエリアなんですよね。ただ日常のエリアでも,目的がなければ30年住んでいても1回も通らないという道もあると思います。ウラカシのときは,わざと遠回りしたくなる,当たり前の風景の中に新たな喜びを発見してもらう,ということを目的としました。外の人がウッドマンズビレッジなどを目的地とし,そこからの回遊性を演出することで,外の人が褒めることで中の人が発見するというやり方もとれるようになるのではないでしょか。範囲や何をどう発信していくのかにもよると思います。

 

②魅力を再発見する秘訣について

〇國廣

 私は仕事で青梅に移り住んだので,外からの目線というのも大きいと思います。他にも,都心のイベントなどに行ってアンテナを張り,似たようなものが青梅にもあるのにこのままでいいのかという風に考えています。

 場所の価値もありますが,まちの人の思い入れも大切だと感じています。全国と比べるだけでなく,このまちにないものがこんな風にわきあがってきたら面白いなという観点から,情報収集やまちを見て,動きを誘発するということを意識しています。

 意図的に魅力的な空間をつくることもありますが,実際はもっと不自由な状況なことが多いです。SNSや藤田先生のようにマップなどで補完し,魅力を高めていくことで人が集まるというようなイメージを持っています。藤田先生の受け売りですが,人はイメージに基づいて行動するということを前提として事業や情報は組み立てています。

 

〇藤田

 ウラカシマップをつくった理由はニーズもありますが,イメージアップ推進協議会の影響が大きかったんです。当時漠然と若者の街やストリートミュージシャンの街とありましたが,若者が多ければ若者のまちなのか,上手い人ばかりではないけどストリートミュージシャンの街なのか,など色々な声がありました。結果,若者の街と古着の街がシンクロし,イメージアップ推進協議会が改めてなりたいまちのイメージのフラッグを立てました。その後の調査から,他の地域から共感した人が周りと比べたうえで,柏を選んでやってきたということが分かりました。噂やイメージに惹かれて実際に体験することで初めて選ばれますから,情報発信はやはり重要だと思います。何においても同じかもしれませんが,フラッグを立てることでハードもついてくるのではないでしょうか。

 

〇國廣

 フラッグを立てるということについては、こうじゃないといけないというものはないと思っています。1人でなくてもいいと思いますし,時代も変わっていくのでフラッグもどんどん移り変わっていくと思います。

 

③中心部から周辺の魅力を伝える際に意識していることについて

〇國廣

 青梅の場合は,西側の離れたところに御岳山や御岳渓谷と言った観光地が集まっています。商店街でも,観光来街者に立ち寄ってもらえばいいのではという意見があり,実際に検証したところ, しっかりアウトドアに時間を割くことを目的とした人は立ち寄らない傾向にありましたが,ハイキングなどライトなアウトドアを目的とした人は街にも立ち寄ってくれると分かりました。全ての人とまではいかなくても,ある程度人が参加しやすいルートを編み出す必要があると思います。

 青梅は中心市街地の再生を行っているので,ハブとしてまちなかに拠点を整備したり,まち発・まち着の観点からいくつか事業を行っています。例えば,ラフティングとクラフトビールの店では,御岳渓谷の方から青梅に近いとこまでラフティングで下り,降りたところでバーベキューしていただいて、そこにビールのケータリングを行うというようなツアーをテスト企画したり。何かつながりを探して,事業にしていけそうなものは大きく情報発信して,他にも似たようなことをやりたい人探すという風にやっています。

 

〇藤田

 ウラカシマップを制作した際に,なんで商店会や振興組合にも入っていないウラの店をPRするんだとオモテの店に方々に怒られたことがありました。無意識ではありますが,私はウラに行くためにはオモテを通らなければならないじゃないですかと返答しました。

 ウラカシ全盛期の2000年代に,駅から1kmくらいの場所にアートコンプレックスがあったのですが,とても人気で,イベントがあれば多くの人が歩いていていました。そうなると,ウラカシが拡大していき,そのエリアまでポツポツと古着やカフェが出店し,駅からウラカシのイメージがストーリーとしてつながっていました。青梅でしたら映画のまちというキャッチコピーがり,みんながそれを意識しているからそういう風に自然と見えてくると思います。

 点でなく線として,連続性を意識しながらこちらも情報発信し,ストーリーとしてつなげて演出することでまた違ってくるのではないかなと思います。

 

④マイクロツーリズムの視点から見た柏の魅力について

〇國廣

 手賀沼は入り口の方までなら歩ける距離です。青梅から見たら柏は大分都会に感じます。都会気分も味わうことができて,自然もあって,どちらも選べるなんてすごく良いと思います。夫がバードウォッチングが好きで,手賀沼によく行っているのですが,写真を見せてもらうと、こんなところがあったんだといつも驚かされます。

〇藤田

 他にも柏には観光拠点があるんですよね。北部には立派な吉田邸というお屋敷や布施弁天などがあります。ただ,どうしても行って帰ってくるだけの点と点という印象がありますね。

ですが,この間旅館をリノベーションしたカフェができたんです。こうなると,人の流れはかなり変わって,行って帰ってくる点と点が半日遊べるコースに,さらにあけぼのやま公園で農業体験なんかで遊んだら1日遊べるコースになると思います。

 実際もうすでにこのように遊んでいる人はいると思いますが,まだまだ見えていない状況だと思います。手賀沼,北部,中心部と違ったエリアをどのように風に見せて発信していくかは課題だと考えています。

 会いに行きたくなるということも1つの観光のツールとして考えているので,まちたび柏では場所だけでなく意図的に人も紹介しています。ただガイドマップを見て解説をたどるだけでは寂しいですし,「この場所良いですね,楽しいですね。」という言葉に「そうなんですよ!」と返してくれる人がそこにいることは重要な気がしています。

 

⑤面白い店の発見と発信について

Q.柏でもどんどんチェーン店が増えてきて楽しめなくなってきていると思います。青梅は,個人事業主がよく開業していて面白い店が増えていると思うのですが,どういう流れで開業しているのですか?

 

〇國廣

青梅では、自分の世界をこの場所で表現したい,この街が好きという人が空き店舗不動産にDIYできる古い物件を借りに行くという流れはあります。もともとクリエイターが多いまちですが,まちの環境と不動産の事情がセットという感じです。私たちも個人で開業しようとしている方には創業支援センターなどと協力して,事業の組み立てなどを全力でバックアップしています。柏も見えてないだけで個性的な店はたくさんあると思いますよ。

 

〇藤田

おっしゃる通りです!本当に個性的なお店が多くて,この業種なら日本一だと思うお店もあります。ですが,柏は都会すぎて他の有名なお店やチェーン店の陰に埋もれていると思います。だからこそ,それを浮き立つように見せる,打ち出していくことが大事だと思います。私たちもまだまだ頑張らないといけませんね。

 

〇國廣

 まちを再生するときには,まちの人に関わってもらって,まちからたくさん情報を出す必要があります。まちに話題をたくさん作って,人が関わっていくことで意識が変わり,満足の仕方が変わっていきます。いい店がなかったからもう来ないというような神様視点のお客さんが減って,例えば友達が頑張っている店があるから行く,知り合いがDIY手伝ってくれる人を探しているから行くというように,どんどん自分ごとの人が増え,まちに関わっていくようになると思います。ただ消費するだけ,お金をおとすだけの関係ではなく,もう少しウェットな関係の人たちが増えていくことが,まちを再生するうえでは重要だと思います。柏にはもう十分に店があるので,まちを変えたいという人が一定数いても,それをかき消すように消費者目線の人がまだまだいるのではないでしょうか。

 

〇梅岡

 確かに,地方都市として柏はまだ大丈夫だよねという意識の人は多いかもしれません。藤田さんのお話からも,そのような関係性が存在していても我々が見つけられていないのだと感じました。

 

〇藤田

 やりたくても柏は圧倒的に家賃が高いですよね。やりたい人はたくさんいると思います。あと空間の大きさが合わず,この広さは借りきれないと考えている人も多いのではないでしょうか。柏でもできたらいいので,ぜひ不動産お持ちの方チャレンジしてみてくれと言ってくれたら嬉しいです。

 

〇國廣

 青梅でも若い人に安く貸そうという人しかなかなか協力はしてくれないですね。

 

⑥コロナ禍での外出とマイクロツーリズムについて

Q.UDC2はマイクロツーリズムを推進していくのですか?

〇梅岡

ウォーカブルと絡めて,まちの回遊性を高める仕組みは推進していきたいという話はしています。そのアプローチの1つとしてマイクロツーリズムがあるのではないかと考えています。コロナ禍の影響も大きいですね。コロナ禍の初めのころの人出について、柏では、川沿いに人がたくさん訪れたようなのですが,青梅は外出の動きなどどうでしたか?

 

〇國廣

青梅は元々都心の人たちが学生時代に遠足で来る場所という感じなので,知名度はあり、GoToトラベルのときは他県へ行けないとち例年の3倍くらい人が来ました。マルシェやビアガーデンが大々的にできないので,今面白いのはまちのひとがあみだしたコミュニティイベントの1つで,リバークリーンというのものが流行ってますね。川の掃除のイベントなんですけど,移住して来た人も参加しやすいようです。ちょっと会話しながら掃除して,帰りに缶ジュースで軽く打ち上げするみたいな感じです。他にも農作業だったり,そういうイベントに人が殺到しています。もともと近所でバーベキューをやったりする人とかが多いまちなので,コロナが流行ってきた初めのころは神経質な人もいましたが,今はまた日常に近い状況に戻りつつありますね。

 

〇藤田

柏には柏観光プロダクションという団体がありますね。増尾地区だったり光が丘地区だったり,発信力が弱いかもしれませんが,地域の方々が色々頑張っている動きもあります。コロナは嫌なことばかりですが,地元の人が地元の魅力を発見するチャンスになっているとは思います。点でなく面として見れるような,つながりやネットワークを意識できるといいですね。

 

 

⑦行政区を超えた連携のあり方について

〇梅岡

 面で意識するということで,柏だったら柏という行政区ではなく,手賀沼周辺や鉄道沿線など環境によってつながるというような,行政区にとらわれない連携の可能性など感じていたりしますでしょうか。

 

〇藤田

 手賀沼エリアではもうやってるみたいです。我孫子市や印西市とマイクロツーリズムやイベントの連携はすでに行われているみたいです。

〇國廣

 青梅では西多摩のアウトドア観光を考える東京マウンテンという組織があります。いろいろ協力してやっているようです。立川とも,青梅へ30分くらいなのでアウトドアに近いまちというイメージをもっていくために連携したいという話があります。隣り合うまちでないものを補い合って反映するまちづくりも少しずつ増えてきているので,もっと広がったらいいなと思います。

 

〇藤田

 奥多摩とか西多摩というとすごく遠く感じるけど,奥東京みたいな言い方をすると,なんだ東京かと感じられるようになると思います。まあ実際ちょっと遠いですけど,近く感じられるようなキャッチコピーは考えたいですね。

 

Q:最後に一言ずつ

〇國廣

 まちは,ずっと連続していて完成しないものです。ここ数年で天変地異みたいなことも起こったりしているので,未来を予測してハードをつくるのはどんどん難しくなっていくと思います。無料で使えるSNSを最大限に活用し良い情報を発信してまちに話題をつくりつつ、臨機応変に地域づくりも対応していってほしいです。色々な人とつながって,まちを楽しい場所と思ってもらえると嬉しいなと思います。

 

〇藤田

 マイクロツーリズムが流行っていますが,ただスポットをなぞるだけになりがちな気がしています。1番大事なことはもっとまちにダイブするように,深くコアな部分を発見してほしいです。きれいに紹介するだけでなく,言葉足らずだったり本音むき出しだったり,いろんな人の顔が見えてワクワクするようなマイクロツ-リズムのコースづくりや発信を行っていきたいと思います。もちろんインフォメーションセンターだけではできないので,まちのやる気ある人たちとうまく連携して,情報発信する側も点と点から線,線から面でつながっていくべきだと今日改めて感じました。ありがとうございました。

 

〇梅岡

 以上でまちづくりトークは終了とさせていただきます。國廣さん,藤田さん,ありがとうございました。また,長い時間にわたってご参加いただいたいた視聴者の方もありがとうございました。

 

 

 

4.Q&A

トークセッション中に回答できなかったご質問について、ゲストのお二人にメールでご回答をいただきました。

 

Q: 柏におけるマイクロツーリズムはどういう可能性があると思われますか?

○藤田

マイクロツーリズムの魅力は、ありきたりの風景や日常の時間の中にも、いつもとは違うワクワクする体験や人との出会いを得ることができること。ツアーに参加することで「あたりまえにあるもの」が「特別なもの」になる瞬間を知れば、その人にとって「柏」がもっと身近なものになるでしょう。また、ツアー参加で得た感動や共感、誰かに伝えたい!という思いはSNS等により発信・拡散されていく可能性も大いにあり、柏の魅力発信に一役買ってくれることと思います。さらに、それらが積み重なれば、今まで地元に興味がなかった市民や近隣市の方々も興味を持ったツアーや現地に足を運ぶきっかけとなるでしょう。一方、ツアーを仕掛ける側の人々にとっても、様々な分野の方々と出会い連携し合うことで、日常生活では得ることのできない貴重な時間と体験、つながりを得る機会となるでしょう。マイクロツーリズムの醍醐味は「知っていそうで実は知らない」地元の魅力を再発見し、新たなヒトやバショ、モノ、コトとのカンケイを築くことができること。まちづくりの側面から見れば、市民が広報の一端を担い発信していくことで様々な化学反応が生じ、新たな担い手や今後のまちづくりの可能性を見出す、よい機会ともなると考えています。

 

○國廣

ほどよい都会らしさと、郊外の雰囲気、自然や建築などの地域資源の組合せ

 

Q:コロナ禍でソーシャルディスタンスという言葉が広がりました。その結果、個人が分断されたり、自宅に閉じこもったりもして、苦しい思いもあった。しかも、遠くに行くのも難しい。そのうち、自宅を中心とした小さなエリアの中で生活を繰り返すことの閉塞感が高まってきたりすることもあったかと思います。そうなると、自分自身の生活に対して、ディスタンスを取りたい、という衝動のようなものがうごめいてくる。そんなときにマイクロツーリズムのニーズが立ち上がってきたのかも知れない、と思いました。閉塞感のただ中でがんばり続けるのはしんどい。少し離れたディスタンスをもった場所へ移動することで、その閉塞感から小さくとも距離を得る、ということでしょうか。質問になっていませんが。

 

○藤田

おっしゃる通り、ですね!確かに、長引くコロナ禍で閉塞感が募った方々がkamonかしわインフォメーションセンターに訪れ、募る不安や憂鬱な気持ちをスタッフに切々と話したり、たわいもない雑談で気を紛らわしたりなどされる姿をしばしば見かけます。中には「友だちと話をしたいが、密になるのが怖くてランチにいけない。ならば、散歩しながら話せばいいのではと思い、2時間くらい歩けるコースを教えて欲しい」というお問い合わせもあります。そのような中でスタートした企画『まち旅かしわ』はホームページで展開中です。館内にはモデルコースのMAPも配布中ですので、ぜひお手に取ってご覧ください。

○國廣

東京都の西多摩地区では日常的に地域の自然に親しんで遊んで過ごす方が多かったので、コロナ禍は逆に都心の来街者が押し寄せて来られ、むしろ引きこもる方が多くなりました。北多摩・南多摩など都心通勤者で、地元で過ごす時間のほとんどなかった層については、顕著にご指摘のような傾向が見られたかなと思います。

Q:國廣さんへ 空き店舗の活性化として他から呼び込む方法もあることながら、既存店の世代交代で閉店を防いだりする方法もあると思います。家族間に限らず事業承継みたいなことに取り組んでいらっしゃいますでしょうか。

 

○國廣

事業承継はトレンドですね。私は直接取り組んでいません、青梅の市街地では稼ぐ商業者は後継者を作っています。ほとんどの商業者は後継者を作らないで廃業されています。青梅市やあきる野市に限れば、地域柄、他人の作った城で働くより自分で起業するという方が多い雰囲気です。製造業の事業者に関しては、商工会議所や青年会議所で取り組んでいる方々もおられます、他人対他人のマッチングは思うようにいかない事例が多いようです。親族後継者のいる企業に対しては、製造業社長の二世や後継者を対象に、後継者塾というプログラムを青梅商工会議所は長年実施しております。経営哲学を学びながらの二世同士の連携づくりの事業は奏功していると聞いています(後継者塾に名を連ねている若社長の方々とも交流があるので、そうした雰囲気は感じます)。

 

Q:藤田さんへ質問なのですが、20年前の柏と比べて今の柏はいかがですか? (話せる範囲で!!)

○藤田

20年前の柏駅周辺は熱気と活力であふれていました。長い間、沿線や周辺都市から「柏市は歴史や文化もないまち」と揶揄されてきただけに、新たなまちの魅力を創出しようと官民一体となって取り組んでいたように思います。その背景として、「柏駅周辺イメージアップ推進協議会」の存在は大きく、同協議会が掲げたなりたいまちのイメージに賛同するカタチで、様々な企業、団体がイベントを展開していたように記憶しています。

また、当時はまだSNS等は普及しておらず、情報の拡散はだまだマスコミが頼りでしたが、新聞、雑誌、テレビなどにタイムリーなプレスリリースを投げることで掲載につながり、それらが「元気なまち柏」のイメージづくりに一役買ってくれたことも大いにまちの力となりました。

時代背景から考えますと、20年前はまだ、百貨店・大型店と商店街がかろうじて共存できている時代でした。「都市間競争を勝ち抜くために、柏駅周辺をいかに魅力的なまちにするか」という課題を前に、多様なステークホルダーが結集し知恵を絞り行動していた印象が残っています。その後、10年位の間に郊外や近隣市にあいついで大型店や専門店が続々出店。買い物客はもちろん、働き手も奪われるなど、一時は駅前が空洞化するのではと思えるほど、大型店の出店攻勢に危機感が募りました。また、リーマンショックや東日本大震災などにより経済全体が冷え込み、人口減少も相まってまちなかの人の動きにも変化が訪れ、厳しい時代に苦戦しました。

この間、人々の価値観は多様化しライフスタイルにも変化が生じマスコミの記事に左右されない層も増える中で、消費者の心をぐっとつかみ惹きつけるしかけが難しくなってきました。また、ワンストップサービスや車移動が主流となる中で、土日の駅周辺の渋滞や駐車場問題に頭を痛め、新たなまち(中心市街地)の楽しみ方・まちの魅力を創出するための試行錯誤が繰り返されてきました。

総じて、20年から10年ほど前の柏には、まちを元気にしたいと活動する人達が大勢いて、それらの顔が目に浮かぶほど各々の分野で活躍されていた時代であったと思います。今は全体的におとなしくなったといいますか、まちづくりの担い手の顔が見えない気がして残念ですね。ですので、今一度まちづくりのその気運を醸成する仕組みと仕掛けをインストールし、目指すべきまちづくりの理想像(なりたいまちのイメージ)の旗を揚げることが大事だと考えていますが、いかがでしょう。UDC2さん、期待していますよ!

 

Q:点として、吉田邸や布施弁天から施設と体験を組み合わせて!お話が出たので、農地農業の体験でも良いのではないでしょうか?

○藤田

もちろんです!ステキなご提案、ありがとうございます。農業体験など、地元の方々と触れ合い、季節ごとに異なる体験できれば、単なる観光とは異なり、何度でも来たくなるはず。kamonかしわインフォメーションセンターでも「まち旅かしわ」のコーナーでコースづくりを進めていますが、もしよろしければぜひ、農業体験のできるところ、ご指導くださる方や団体様をご紹介下さい!

 

Q:さっきの國廣さんのお話は、地方都市でのリノベーションまちづくりを思い出します。消費者というより、応援者になりますよね。 柏でリノベーションまちづくりは可能性があるのでしょうか。

○藤田

いいご質問ですね!ありがとうございます。柏でのリノベ―ションまちづくりの可能性…、まずやってみたいと思われる方は多いと思いますし、できたら本当に素敵だなと思います。が、問題はそれを可能にする物件がでてくるか否か、ですよね。仕掛ける側の思いも大事ですが、それに賛同してくださる不動産オーナーもいて下さらないと…。もっと言えば、不動産オーナーの方々がどれだけエリアの活性化やまちづくりに興味を持ってくださり、協力してくださるか、が課題です。ご自身の物件から届懲りなく賃借料が上がればよいとお考えの方だと、なかなかうんと言っていただけないのが現状です。それには、かつて頻繁に開催されていたまちづくり勉強会のように、他の地域の実践事例と成果をみんなで学ぶ機会を設けることが必要なのだろうと思います。UDC2さん、コロナ感染が落ち着いたら、ぜひお願いいたします!

○國廣

リノベーションまちづくりは小さな投資や起業が連鎖していく現象です。柏の駅前などではいきなり展開しにくいとは思いますが、中心部にありながら不動産価格が低廉になっているエリアを家賃断層(または地価断層)と呼びますが、そのようなエリアの物件を着手することからスタートできる可能性はあります。また、中心部の面積の大きな物件や、本来であれば高く貸せるような物件も、所有者の一存で若い人に安く分割して貸してくれるような方が出て来ないとも限りません。もちろん、そうした提案を持ちかける人がいて、初めて成立する話だと思います。青梅のように自治体も出資するまちづくり会社で、そうした動きを作る例も多数ありますが、最近では、全国各地の建築家がチームを組んで仕掛ける例も多数あります。柏にだけそうした動きがない、とは決め付けられないですね。実際には、皆さんが知らないだけで、すでにそういう動きが出始めているかもしれません。

 

5.アンケート結果

アンケート結果

1990年代より「若者の街」として名前を馳せてきた柏の街。

「東の渋谷」と言われた時代もあり、多くの若者にとって憧れの街だったと言います。

しかしながら、UDC2がここ数年で調査したアンケートでは、若者からポジティブな意見と共に、ネガティブな意見もたくさんもらっています。

タイトル

タイトル

「怖い」「休日に来たいと思わない」「デートするには恥ずかしい」

「柏に来たくて来てるわけじゃない。他に行くところがないだけ」

などなど。‍

若者にとって、憧れの街ではなくなっているのでしょうか?‍

サブタイトル

サブタイトル

そもそも、柏の街に若者はいないのでしょうか?

そんなことは[.u][.s100]ありません[.s100][.u]。パレット柏のオープンスペースや、UDC2の社会実験である「デッキパーク」などは、たくさんの中高生に利用されてきた経緯もあり、若者の居場所としてにぎわっています。このたくさんの若者。彼らはどこから来て、何を目的に過ごし、柏の街に何を感じているのでしょうか?

「若者の街・柏」のリアルはどこに?‍

さあ、柏に関わる若者たちのHONNE(本音)を探っていきましょう。本プロジェクトは、柏で活動している若者にフォーカスし、彼らのHONNE(本音)を探ることにより、若者の柏の街に対する考えや、街の内外での動きを見える化することを目指すものです。市内の各所に徐々に配架していきますので、ぜひお手に取ってお読みください

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